住宅ローンの今後
2024年08月18日
マイナス金利政策解除後の変動金利はどうなるのか
マイナス金利解除後の変動金利の行方を予想するためには、引き下げ幅と日銀の今後の金融政策に注目する必要があります。
まず、引き下げ幅については金融機関同士の競争が続く限りある程度の高止まりが期待できます。住宅ローンは、金融機関にとって、個人のお客さまに提供している重要な金融商品の1つです。
都市銀行や地方銀行だけでなく、ネット銀行も含めて顧客の争奪戦が続いており、一定の引き下げ幅は維持されるでしょう。仮に引き下げ幅が縮小された場合でも、既に住宅ローンを借りている方の引き下げ幅は変更にならないのが一般的です。
次に日銀の金融政策に影響を与える物価の情報を確認しておきましょう。総務省統計局が発表した2024年3月分の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は、前年同月比プラス2.6%となっており、実は、日銀の目標であるプラス2%を超えています。
しかも、年2%以上の物価上昇は一時的なものではなく、2022年中から継続的に起きている現象です。下記グラフからわかるとおり、総合指数、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数でも同様の傾向が見られています。このような傾向から、日銀がマイナス金利を解除したのは自然なことだと受け止められます。ただ、グラフを見る限り、物価上昇率にはピークアウト感もあるため、今後の行方が気になるところです。
住宅ローンの今後の見通し
2024年3月、日本銀行は約17年ぶりにマイナス金利政策を解除し、政策金利の引き上げを決定しました。これにより、住宅ローンの金利も上昇傾向にあります。他の先進国と比べると日本の金利水準はまだ低い状況ですが、今後さらなる金利上昇が予想されています。
政策金利の引き上げと住宅ローン金利への影響
日銀の政策金利引き上げ:日銀は2024年3月19日の金融政策決定会合で、約17年ぶりにマイナス金利政策を解除し、政策金利を引き上げることを決定しました。1
住宅ローン金利への影響:日銀の政策金利引き上げにより、住宅ローンの金利も上昇傾向にあります。2024年7月時点では、住宅ローンの金利が上昇していることが確認できます。2
金利上昇の背景:日銀の金融政策転換に加え、インフレ圧力の高まりや経済回復などを背景に、金利上昇が予想されています。3
今後の金利見通し:専門家や金融機関の予測によると、2024年にはさらなる金利上昇が見込まれています。4
住宅ローンへの影響と対策
借入コストの上昇:金利上昇により、新規の住宅ローン借入や借り換えの際の借入コストが上がります。
返済負担の増加:既存の変動金利型住宅ローンの場合、金利上昇により返済額が増加する可能性があります。
固定金利型ローンの検討:金利上昇リスクを回避するため、固定金利型住宅ローンの検討が有効です。
早期の借り換え検討:変動金利型ローンの場合、金利上昇に備えて早期の借り換えを検討することが重要です。
ローン期間の見直し:返済負担を抑えるため、ローン期間の延長なども検討できます。
自己資金の活用:頭金を増やすことで、借入額を抑えることができます。
住宅市場への影響
住宅価格への影響:金利上昇により、住宅購入時の負担が増加するため、住宅価格の上昇圧力が弱まる可能性があります。
住宅着工への影響:金利上昇による購買力の低下で、新築住宅の需要が減少する可能性があります。
中古住宅市場の活性化:金利上昇により新築住宅の需要が減少すれば、中古住宅市場の活性化が期待されます。
総じて、2024年以降の住宅ローン市場は金利上昇局面を迎えることが予想されます。借り手にとっては返済負担の増加が懸念されますが、固定金利型ローンの活用や自己資金の活用、ローン期間の見直しなどの対策が重要になってきます。一方で、住宅価格や住宅着工への影響も予想されるため、政府による支援策の動向にも注目が必要です。これらの動向を踏まえ、住宅ローン借り入れや住宅購入の検討を行うことが重要でしょう
繰り上げ返済も念頭に置く
将来的な金利上昇に備える場合は、繰り上げ返済を念頭に置いて貯蓄ペースを上げ、返済資金を確保しておくことが大切です。
金利が上昇する局面においては、変動金利よりも固定金利のほうが早く金利が上昇するのが一般的です。そのため、固定金利が上昇してもすぐに変動金利が上昇するわけではないのですが、変動金利もいずれ上昇するかもしれないと認識しておきましょう。
また、変動金利タイプかつ元利均等返済方式のローンを利用している場合、一般的に金利見直しによって金利が上昇した場合でも5年間は返済額が変動しません。上昇した金利分の支払いが免除されるわけではありませんが、毎月のローン返済額は5年間は変わらないため、この期間中に金利上昇への備えをすることができるでしょう。
借入時には家計とのバランスを考えた上で、資金計画や返済プランを検討しましょう。